SSS’s 〜年末年始ガッカリスペシャル〜

・クリスマスは小早川

 ……

 ……

 ……

 あ、あぁぁ! 俺か!?

 俺の番か!?

 いや、何! 俺いっつもオチじゃん?

 あぁ、最初ね、最初……はいはいはい……

 えぇ〜っとな、クリスマスな、俺の担当はクリスマスか……

クリスマス……?

 あぁ〜、クリスマスのことはあんまり思い出したくねぇなぁ……

 

12/23

野球部視察8001200 バイト13002100

12/24

バイト1200000

12/25

バイト1200000

12/26

野球部視察8001200 バイト13002100

 

 ……

 ……

 ……

 あぁ、そうだよ、彼女いねぇよ!

 しかもバイトだよ!

 悪いかッ!!

 他の家族は休暇で旅行だよッ!!

 俺は冬休みでも休めねぇんだよッ!!

 年中無休!!

 へ〜んッ! この世のモテ男は滅べッ!!

 み〜んな滅んじまえッ!!

 ……ふぅ、すっきりした。

 さってと、俺今からバイトなんで、もう行くわ。

 おっと、その前にバカ後輩どもにちょっくら指導してってやるかな。

クリスマスは小早川(完)

 

・大晦日は高井

 ハァ〜……

 今年はいろいろあったよなぁ……

 でも、あたしの副会長任期ももう終わって……

 圭の二つの事件も、無事解決して……

 ……

 あたし、圭と八十島に、ずいぶん迷惑かけちまったよな……

 ……

 あぁ〜! ダメだダメだッ!!

 な〜んであたしって一人だと考え込んじまうかな〜ッ!

 もっとプラスに考えよう! なッ!

 えぇっとほら!

 あたしらがきっかけで二人の絆が深まったとも言えるしッ!

 ……それってもとはといえばあたしらが原因ってことじゃん……

 い、いやいや!!

 ほら、あれだよ!

 雨降って地固まるって言うし!

 あたしらが雨を降らすのもちゃんと意味のあることなんだよ!

 ……今のって、あたしが疫病神だって言ってるようなもんじゃん……

 ……あぁ〜、紫の霧が立ちこめるぅ〜……

……あたしゃアメフラシか……

…………

……

あぁ〜! また暗くなってるしッ!!

もぉ〜! 何であたしってこんななんだろ!!

 

ゴ〜ン……

 

あ……除夜の、鐘……?

 

ゴ〜ン……

 

いい音だなぁ……もぅ、今年も終わりか……学校も、もう……

圭、八十島、他のみんなも……卒業したって、あたしらはずっと……

大晦日は高井(完)

 

・元旦は立川

 ねぇ、八十島君? あと30秒で、新年ね……

 え? うん……今年も、ほんとにいろいろあったわね。

 私達、本当は今まで、ずっと恋に恋してたんだ……

 “あぁ、これが恋愛なんだ”って。

 でも、今年起きた二つの大きな事件が、あたし達を目覚めさせてくれた。

 一つは、あなたと私と、そしてもう一つの私との戦い……

 もう一つは……あれは……私とあなたと、あなた自身との戦い……

 八十島君、私達の気持ちは、本物よね?

 うん、自分でもバカなこと訊いてると思うけど……なんだか怖くて……

 あ、年明けたね、八十島君……八十島君……?

 !?

 や、八十島君……やめて、急にどうしたの!?

 えと、そりゃ、そうは言ったけど……

 あ、やだちょっと……

 ほ、本気で嫌がってる、わよ……!

 ね、ねぇ、なんか今日の八十島君、変よ……?

 あん、やだ、やめてってばぁ……

 あ、あら……? 

力が、抜けて……

 八十島君、後催眠使うなんてズルイ〜……!

 …………

……や、八十島君……あなたなら、あたし……

 

ジリリリリリリリリリリ!!

 

「キャア!!」

 突然の騒音に立川はベッドから飛び起きた。

「目覚ましが……あ、朝……? え、え? ベッド? 八十島君は……??」

 その時、突如立川家のインターホンが鳴り響く。

「立川さ〜ん! 初日の出、一緒に見に行く約束でしょ〜?」

「こ、これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢オチかよ〜ッ!!(怒泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グゥ……ま、まさかこのあたしがネタ担当だなんて……」

 

「ちょっと期待しちゃったじゃない、うぅ〜……(泣)」

元旦は立川(完)

 

・そして新たなる年へ

「立川さん、何やってんだろ……まだ寝てるのかなぁ……」

 ガチャ

「ご、ごめんなさい! まだ大丈夫だよね!?」

「うん、でもちょっとまずいよ? 急ごう!」

 

「な、何とか間に合ったわね……」

「はぁ、はぁ……この……丘からの朝日、が、はぁ……一番、綺麗なんだ……」

「あの、遅れちゃってごめんなさい……」

「はぁ、はぁ……え? あぁ……いいんだよ、二人で、来ることに……意義が、あるんだから……ケホッ……アハハハ……」

「もぅ、あなたって相変わらずね……ふふ……」

「そういえば、立川さんは、息、切れてないね……」

「あなたが引っ張ったんでしょ……あたしは引っ張られなくても早いのに」

「そ、そっか……ハハ……」

「あ……」

「ん……? あ……」

「朝日ね……」

「うん……」

「向こうの山の稜線から光が溢れ出てる……」

「うん……」

「すごぉい……光が霞に反射して……キラキラ、虹がたくさん……」

「気に入った?」

「うん……私、こんなの初めて見た……」

「そっか、気に入ってもらえてよかった……ここ、僕も大好きなんだ……」

「はぁ……綺麗……」

「ふふ……あ、そういえば僕、面白い夢を見たよ! 立川さんと一緒に富士山で遭難して鷹に襲われるんだけど、なすびを拾って生き延びたの。縁起がいいんだか悪いんだかわかんないよね。立川さんは初夢見た?」

「は、初夢!? あぁ〜……えぇ〜っとねぇ〜……」

「どしたの立川さん? なんか顔赤くない?」

「き、気のせいよッ! 私はねぇ、八十島君と一緒にカウントダウンする夢!」

「あぁ……そっか、ゴメンね? 昨日は僕が行けなくて……」

「ううん、仕方ないもの、気にしてないわ。生徒会の後輩、引継ぎまで任せちゃったのあたし達でしょ? いいマニュアルは出来た?」

「うん、何とかね。でも、これはその場で読ませたら回収するけどね」

「え、何で?」

「マニュアルに頼ってばかりじゃ、人間成長しないからね」

「ふふ、なかなか厳しい先輩ね……」

 

「あ、いたいた! お〜い!!」

 

「あら? あの声は……」

「高井さん、と、みんな!?」

「おいおい! 高井意外は他多数かよ!?」

「吉野、諦めろ……脇役の定めだ……」

「あぁ〜、橿原よぉ、所詮平役員は会長様たちには見向きもされないのか……」

「あら、よくみたら小早川君もいるわね?」

「よく見たらってなんだよ!?」

「コラァ! 立川ァ! 俺を忘れんなや!!」

「あら、あなたもいたの?」

「“いたの?”て、ちょ、おま……」

「なんだかにぎやかになってきたね」

「八十島君、ごめんね、せっかく立川さんと二人きりだったのに……」

「猪狩君、気にしないでよ……って、君が連れてきたの!?」

「いや、ここ、お気に入りの場所で……初日の出、どうせ見るならみんなもとおもって……でも君達は家に言ったらもういなかったから……」

「そっか、君もここ知ってたんだ」

「うん、何度か、ここで朝日を見たことがあるんだ……」

「綺麗だよね……」

「うん……」

「でも、日の出には間に合わなかったね」

「アハハハ……まぁ、いいよ……こうやって朝日は見れた……」

「そっか……」

「さて、邪魔者は消えようかな」

「うわッ、猪狩がいまだかつてないパワーで俺らを引きずってゆく!?」

「くそぅ、友達思いキャラしやがって! ならば俺は甘えんぼキャラで売ってやる!!」

「あ、猪狩君! みんな!?」

「……行っちゃったわね……」

「ねぇ、立川さん……」

「ん? 何?」

「僕達、本当は今まで、ずっと恋に恋してたんだよね……」

「え……?」

「“あぁ、これが恋愛なんだ”って、自分達に酔ってた」

「そ、その話って……」

「でも、今の僕らは……“本物”だよね……?」

「ど、どうして……」

「うん、自分でもバカなこと訊いてると思うけど……なんだか怖くて……」

「八十島君………………バカじゃないよ……全然バカじゃない。あたしも凄く怖かった……ううん、今でも怖い……」

「立川さん……」

「でも、今の八十島君の言葉聞いて、なんか安心した」

「え……?」

「あなたも私と同じだったから」

「同じ……」

「そう、好きすぎて、傷ついたり、傷つけたりするのが怖いのよ」

「……」

「考えてみれば……そうやって相手のことを想って悩んであげられるってだけで、十分“本物”なんだわ」

「怖いから、本物?」

「えぇ、怖くなるのは、相手を裏切りたくないから……あなたの恐れは、弱さから来るものじゃなく、優しさから来てるものだから……」

「立川さん……」

「つまり、自信持っていいのよ! あなたは“本物”!」

「……」

「んもぅ! 人がせっかく励ましてるんだから、元気出しなさい!」

 

チュッ

 

「!?」

「……あ、あたし達はね、まだまだこれからなんだから……こんなところでへこんでる暇は無いのよ! さぁ、かえって初詣の準備しよ〜っと!!」

「……立川さん……ありがとう……」

そして新たなる年へ(完)

 

 

・おまけ?

「うっわ! みてらんねぇ……!」

「おうおう熱いの〜! お二人さんは……!」

「猪狩、お前よくこんないい隠れ場所知ってたな……」

「お気に入りの場所だもん」

「二人、マジで気づいてないのか……?」

「僕、かくれんぼで負けたことないからね」

「はぁ……」

「にしても、完全にでばがめだな……」

「猪狩も案外趣味わりぃのな……」

「僕は決めたから……ずっと、八十島君についていく……ずっと八十島君を助けてあげる……」

「それとこの覗きと、何の関係が?」

「僕は、対象のあらゆるデータを集めないと気が済まない性質でね……」

「お前、微妙に怖いな……」

「フッ……僕を理解できる人間は、肉親を除いてこの世に三人しかいないからね……」

「確かにお前は謎が一番多いな、密かに……お前、もしかして一番怖い奴なのかも……?」

「僕は理解するべき人だけに理解されればそれでいいさ。僕より興味津々に覗いてる君たちに言われたくないね」

「おぉ、なんか今日のお前は光ってるな」

「まぁ、それほどでも?」

「あ、やべっ、立川こっち来る!」

「逃げろ、逃げろ!!」

「あぁ、まにあわねぇ!!」

「……ん? あら? あ、あなた達は……」

「あっはははは、は……」

「まさか……」

「み、見てないッす!! 二人のキスなんてもうぜ〜んぜん!!」

「ベタな白状の仕方をするなッ!!」

「ひぃ!」

「お前ら全員『アレ』決定!!」

「「「「イヤァ〜〜〜〜!!!」」」」

 

 そのころ、一人逃げ切った猪狩は……

 

「だから言ったじゃん、僕はかくれんぼで見つかったことは一度もないんだよ。……で、結局さぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体『アレ』って何なんだ〜〜!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SSS’s2〜年末年始ガッカリスペシャル〜(完)