ファンタなページ トップ 投稿室 ようするに催眠って何? : 第2話


第2話 寝てる訳では無いのか?

 ああ、ようやく本題だ…などという作者のつぶやきはさておき。

主人公:

でさあ、ようするに催眠ってなんなんだよ。

馬鹿兄貴:

作者みたいな奴のことだよ。

主人公:

って、それは細民だろ。

 兄はけらけらと笑った。って、ちょっと待てやお前ら。

馬鹿兄貴:

わりー、わりー。ようするに催眠ってのはだ…

 人を細民よばわりしたことは、放置ですかい。

馬鹿兄貴:

心理的な現象、つまり心や精神に由来するものだな。

 うんうん、と主人公がうなずく。

馬鹿兄貴:

で、意識の活動が低下して、ある一点に集中された状態…ようするに、ぼーっとなって掛けてる人間の声だけ聞いてるような状態だ。

主人公:

寝ちまってるわけじゃねぇんだな。

 わりとありがちな、6階建てより1階低い…もうええちゅうの。

馬鹿兄貴:

寝ちまってたら、暗示も聞こえないだろ?

 あ、そうか。と主人公なっとう食う…じゃなくて納得のご様子。

馬鹿兄貴:

作者うるさい。

 すみません(シュン)。

 私の沈黙を確認して、話を続ける。自分だって最初ボケたのに……。

馬鹿兄貴:

まあ、睡眠と似てる点もあるけどな。「眠くなる」とか「深い眠りに落ちてゆく」なんて暗示が、昔は結構使われてたみたいだし。

主人公:

なんで、寝るんじゃねーのに「眠くなる」なんだ?

馬鹿兄貴:

ああ、それは「眠くなる」が誰でも経験したことのある感覚だからだろうな。「身体の力が抜けて楽になる」だの「うっとりとしていい気持ちになる」だの細かく言わなくても、「眠くなる」だけで通じるし。まあ最近は、はやらないみたいだけど。

主人公:

ふーん。逆に言えば催眠ってのは、身体が楽になっていい気持ちになる現象ってことか。

馬鹿兄貴:

まあ、必ずなるってわけじゃ無いけど、大体そんなとこだな。んで、全身リラックスしてぼーっといい気持ちになってるから、心がオープンになって暗示を受け入れるってわけだ。それに、意識の活動が低下してるから普段言われても「えー」で終わっちまうような事、例えば「目が見えない」とか言われても「そんなことありえない」なんて考えずにその通りになった様に感じるんだな。ここまでは催眠で心や身体に起こる変化を説明したわけだが、催眠にはもう1つ重要な側面がある。それは「ラポール」って奴だ。

 あそこの床屋?

馬鹿兄貴:

地元の人間にしかわからんボケはよせ。つーか、あそこってどこだよ。

 というわけで、次回はラポールの解説。

主人公:

うまくまとめたつもりなのか? 今ので、うまくまとめたつもりなのか!?

 え、いや、あの、ほら。そうじゃないけど…。この話長くなっちゃったし、どこかで区切らないとだしさあ…。

主人公:

結局、うまく話を区切る方法が思いつかなかっただけなんだな。

馬鹿兄貴:

それで、あんな訳のわからんボケをかましたのか。

 う…。登場人物に言われ放題な作者って、一体……。まあ、このままラポールの説明を始めてしまうと第2話が長くなりすぎるので、多少強引に中断させたのは事実だが。

主人公:

多少か?

馬鹿兄貴:

多少ねえ。

(なお、1話は1回に読む量の目安というつもりで書いている

―用語解説―

【細民】

 下層の人々。貧民。作者は貧乏だ。

【心理的な現象】

 催眠という現象を、生理的に捉える人もいないわけではない。ただ、最近はあまり、はやらないようだ。

―コラム:催眠は心理学?―

 意外に思われるかもしれないが、催眠研究の歴史は心理学が哲学から独立するよりも早く始まったようだ。当初は、医学としての研究が中心だったらしい。よく「催眠は心理学」などと言われるが、催眠は必ずしも心理学の一部というわけではないようだ。

【寝ちまってるわけじゃねーんだな】

 どんなに催眠が深くなっても、掛けている人間が与える暗示を受け入れて(聞いて)それを実行するために必要な感覚機関(耳など)や精神の活動は失われないと思われる。この点が睡眠との決定的な違いではないか、と私は考えている。また、催眠中は一般に目を閉じているため、眠っている様に見える。しかし、暗示の与え方いかんでは目を開けたまま催眠状態に誘導したり、催眠を解かずに目を開けさせることも可能である。

【6階建てより1階低い】

 くどくて、すいません。6階建てより1階低くても、やっぱり5階です。

【暗示】

 辞書によると、 それとなしに知らせること   相手が信じこむような雰囲気を作っておいた後、本当は疑わしい事柄をも事実だと思いこませるように言うこと 株式会社三省堂・新明解国語辞典より]だそうである。他に  〔心理〕他人の心に無意識のうちに、ある観念を与えるような刺激 株式会社岩波書店・岩波国語辞典第3版より]という意味もある。(古典)催眠においては、指示的なものも含めてある観念を生じさせるための刺激(言葉など)や、それが行動となる現象を指すようだ。2番目の意味が、一番しっくりくるようにも思える。

※ここで言う観念とは、主に意識的でない(知覚や感情も含む広い意味での)行動を起こすものを指す……と思う。

【身体が楽になって】

 ドイツの精神科医J・H・シュルツが催眠を体験した人たちに身体がどんな感じか尋ねたところ、「手・足が重くなる」「手・足が温かくなる」という答えが返って来たという。彼は、重くなる感じは筋肉の弛緩、温かくなる感じは心身の弛緩に由来しているのではないかと考えたようだ。弛緩は緊張の対義語で、緩むといった意味の言葉。この場合は、リラックスと言い換えてもいいだろうか。

 なお、シュルツは「自律訓練法」を開発した際の中心人物。自律訓練法は自分で行う催眠(自己催眠)の技法の1つ。

【心がオープンになって】

 ここで言う心には、自覚される部分だけではなく自覚されない部分、一般に潜在意識や下意識、無意識などと呼ばれる部分も含まれる。というより、その部分がオープンになっていることの方がより重要といえるだろう。なぜなら、こうした部分は人間の行動や感情を支配していると考えられるからだ。

 通常は意識が活動しているため、外部からの刺激や情報は意識というフィルターを通ってからでなければ自覚されない部分に届かない。しかし、意識の活動が低下するとフィルターの働きが低下した形になり、意識による判断の影響が少ない状態で届くと思われる(意識が活動している状態でも意識のフィルターを避けて暗示を通す方法もあるようだが、本作では扱わない)。

 こうした部分は心の一部であるにも関わらず、本人が制御することは困難だ。たとえば、緊張で震えだしてしまうと何をどう考えても震えが止まらない、あるいはかえってひどくなるということがあるだろう。そのため、こうした部分に暗示を送りこまれると、被験者はそのとおりに行動してしまうというわけだ。

【1話は1回に読む量の目安】 

※この解説は、かなり悪乗りしています。そういった物に嫌悪感を感じる方は、読み飛ばして先に進んで下さい。

 文章を読むのが好きな方は、この括弧書きを読んで「短くないか」と思われたであろう。ネット小説の中には、本作品の1章程度かそれ以上の長さを1話としているものがあるのも事実だ。実は作者は、文章を書いているくせに長い物を一気に読むのが苦手である(紙媒体であれば、文庫1冊を1日で読むことも無くはないが)。そのため、1話はこのような長さになっている。

 また、自宅にPCが無く、ネットカフェから読んでいる人への配慮ということもある。作者自身、ネット小説を読んでついつい予定時間を超えてしまうということがあった。かといって、途中でやめると前回どこまで読んでいたのかわからなくなってしまう。なにせ、ネット小説に栞を挟むことはできないし、たいていは一続きになっているのでページ数で覚えておくこともできない。

 っつーかPC買え。回線引け。後半は解説というより、ただの愚痴だぞ。テュアラティンやモーガンでいいから、だれかくれないかな…(贅沢言うな)。テュアラティンやモーガンについて説明しようかと思ったが、本題と関係無い話題をこれ以上続けるのはまずいので割愛。気になった方は掲示板で質問を…ああ、管理人様ごめんなさい! しぐのんは掲示板を荒らす悪い子ですぅ。

※「しぐのん」は、作者のハンドルネームの略称です。

―コラム:やっぱり進化は早かった―

 この用語解説(当時は語釈)を書いてから半年ぐらいだというのに、テュアラティンどころかノースウッドも出荷終了。モーガンに至っては、商品のブランドごと無くなってるし……。進化の速度が遅くなったような気がしていたけれど、やはりこの業界は…って、何のコラムを書いてるんだ。催眠の話じゃ無いのか? これが何の話だかわかる読者の方は、果たしていらっしゃるのだろうか?

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(5)
ネタ系小説で催眠や催眠用語を覚えたつもりになる話
第一部 ボーイ・ミーツ・催眠術
第一章 ようするに催眠って何?
第二版:平成17年10月21日

青黒のシグノマスター