第2回催眠練習会体験記
この体験記は、ゴロぉが、ゴロぉの主観で、ゴロぉの記憶を基に書いたものです。
したがって、不正確な点やあいまいな点があるかとは思いますがあらかじめご了承ください。
僕が待ち合わせの駅に着くと、出口のところに女の人が一人。もしやと思って声をかけてみると、やはり練習会の参加者だった。
僕「あ、ゴロぉですはじめまして」
女の人「K(仮)といいます。よろしくお願いします」
僕「ファンタさん・・・は、まだ来てないみたいですね」
Kさん「あ、なんか今メールがあって、ちょっと遅れるみたいです。『白いシャツを着て大きな荷物を抱えてます』って」
しばらくの沈黙。
僕「Kさんは、その、アレ(催眠のこと)の経験とかってあるんですか?」
Kさん「いえ、今回が初めてなんです」
僕「あー、そうなんですか。いや実は僕も初めてなんですよ」
Kさん「どんなことをするんでしょうね。ていうかファンタさんの『大きな荷物』ってなんなんでしょう?」
僕「んー、撮影機材とか、小道具とかじゃないでしょうかねえ。いろいろ小道具使うって話を聞きますし」
Kさん「あ・・・(汗)、そういえば今回撮影ありなんですよね」
僕「あー、そういえばそうですねえ(汗)。なんだか応募するときに撮影可のほうが有利だって書いてあったもので」
Kさん「あ、そうなんですかー」
この会話、はたからはどう聞こえていたのだろうか。それがすごく心配。
そうこうしているうちに、ファンタさんが登場。HPに載っている写真、そのまんま。
そして、でかい紙袋(1メートル四方ぐらい)を手に持っている。ていうかそれはでかすぎだろーという突っ込みは飲み込んで、まずはご挨拶。
僕「はじめましてゴロぉですー」
Kさん「Kです」
ファンタさん「あ、どうもはじめまして。ファンタです」
僕「あの・・・その荷物、は・・・?」
ファンタさん「あ、これ?いすですよ。あと、こまごまと」
Kさん「重そうですね。どれか持ちますよ」
ファンタさん「いや!大丈夫です」
と、いつのまにかさらにもう一人女の人が混じっていた。どうやらファンタさんと知り合いらしい。
とにかく、その4人でスタジオまで歩いた。途中、ネコに2回も遭遇する。このへんはネコ多いんですねとKさん。
スタジオに到着。スタジオといっても殺風景な部屋で、部屋のスミに机と椅子がたたんで立てかけてある以外、ほとんど何もない。
しかもその机と椅子は見事にホコリをかぶっている。ホコリをふき取って机といすのセッティングをした。
ファンタさんはカメラを三脚にセット。これから撮影だという緊張感が部屋を包んだ。
ファンタさん、Kさん、僕、の並び順で机に向かって座る。ファンタさんの知り合いの人は、カメラの視界から外れたところにいすをおいて座る。
ファンタさんは荷物の中から、なにやら怪しげなペンダントを取り出してきた。
ファンタさん「これからやるのは、『被暗示性テスト』と言って、暗示を被ると書くわけなんですけど、暗示にどれだけ反応しやすいかというのをテストするものです。実は、テレビのショーとかで催眠にかかってるのは事前にこういうテストで被暗示性の高い人だけを選んでかけてるんです。とりあえずKさんこれ持ってもらえます?」
Kさん、怪しげなペンダントを受け取り、目の前でぶら下げて持った。
ファンタさん「持ちやすい楽な位置で持ってくださいね。このペンダントで、見やすい点ってあります?」
Kさん「はい」
ファンタさん「ではその点を見つめてください」
ファンタさんの声の雰囲気が変わった。
ファンタさん「ではー、そこをじーっと見つめていると、そのペンダントがだーんだんゆれ始めます。左右にゆれ始めますよー。じーっと見ているとー、だーんだんゆれてきます。ほらゆれてきましたねー。そのゆれがどんどん大きくなります。どんどん大きくなります。ゆれていきます
よー」
しかし、Kさんの持つペンダントはかすかにゆれはするものの、ゆれはすぐにおさまってしまった。
ファンタさん「はい結構ですよー。あ、もう腕も下ろしていただいて」
Kさん「ぜんぜん動かなかったですー」
ファンタさん「そうですね。ゆれる感じはしました?」
Kさん「えっと、ゆれるかなーとは思ったんですけど、もしかしてこれ自分でゆらしてるんじゃないかなーと思っちゃったりして」
ファンタさん「この暗示にかからない典型的な方ですね(笑)じゃあゴロぉさんやってみます?」
僕「あ、はい、ぜひ」
僕にも似たような暗示をかけてもらった。僕のほうは彼女よりもう少しゆれたが、ファンタさんによると中の下らしい。
ファンタさんはペンダントを自分で揺らしながら、言った。
ファンタさん「これからもう一人来る予定ですけど、その人はもうこのぐらいゆれますから」
僕「ほんとですか!?」
ファンタさん「ええほんとに。あ、ホームページのほうは見ていただけました?」
僕「はい。あぁ、もしかしてあのムービーの被験者の人・・・」
ファンタさん「そうです。T(仮)さんって言うんですけど、彼はめちゃくちゃかかりやすいですよー。
しかし困りましたね。二人とも被暗示性がそんなにないとすると、やることなくなっちゃったじゃないですか(笑)」
僕「このまま練習してはだめですか?」
ファンタさん「んー、初心者の場合は、被暗示性の高い人で練習したほうが絶対にいいんですよ。催眠にかかりにくい人っていうのはいるもんで、中にはどんなプロがかけてもかからないっていう人とかもいるんです。そういう人相手に練習しちゃうと、自信なくなっちゃうでしょ?」
僕「はぁー」
ファンタさん「でもね?被暗示性って、暗示をやってるうちにだんだん高くなっていくものですから、順番にやってみましょうか」
ファンタさんは、荷物の中からまた何やらごそごそと取り出す。黒いペン、かと思ったらペンライトだ。
ファンタさん「じゃーん。ペンライト」
Kさん「何をするものなんですか?」
ファンタさん「これはね。腕固め。やってみます?・・・ってゴロぉさん何でそんな興味津々な目なんですか?!」
僕「あ、え?そんなに興味津々な目でした?」
ファンタさん「じゃあ今度はゴロぉさんからやってみましょうか。これを握ってもらえます?」
僕「はい」
ファンタさん「では、見つめやすい位置を決めてください」
僕「はい。じゃあ、先っぽの光で」
ファンタさん「はい。ではー、その光をじーっと見つめてください。・・・光を見つめているとー、手にだんだんと力が入ってきます。ペンを握る手にー、だんだんとー、力が入っていきます」
ファンタさんの声は、徐々に大きく、力がこもった声になっていく。それにつられてか、気がつくと僕の手にも少し力が入っていた。僕はペンライトの光を見つめている。そのとき、急にファンタさんの声が変わった。
ファンタさん「・・・今日の朝ご飯なに食べました?」
僕「え?」
突然のことで虚を突かれた。えっと、なんだったかなと思い出そうとすると、ファンタさんは、「ほら!」と言ってペンライトを握っている僕のこぶしを下からぽんとたたいた。驚いて顔を上げると、ファンタさんが恐ろしくまじめな顔で僕の目を見つめている!
ファンタさん「ほら!どんどんどんどん力が入っていきます!ほら!ぐいぐいと手が締まっていく!光を見つめていると手がどんどんしまっていきます!」
そのときの僕の手の反応は信じられないほどだった。驚きによって思考が停止しているところに不意打ちを食らったみたいになって、手にはどんどん力が入っていった。
ファンタさん「はい。いいですよ。ではこれから僕が3つ数えると、手に入ってる力が抜けまーす。1、2、3。はいお疲れ様ですー」
僕は手をぶらぶらと振った。
僕「びっくりしましたよー。顔マジなんですもん」
ファンタさん「驚愕法です(ニヤ)じゃあKさんもやってみましょうか」
Kさん「はい」
ファンタさん「ではこのペンライトを握ってください。見つめやすい点はありますか?」
Kさん「光です」
ファンタさん「はい。では、光をじーっと見つめてください。あ、こっちは見なくていいですよ?」
ファンタさんは、Kさんがペンライトを握っているすぐ横に自分の手を出して握りこぶしを作った。
ファンタさん「その光をじーっと見つめているとー、あ、こっちは見なくていいですよ、光をじーっと見つめていると、手にだんだん力が入ってきますよー」
ファンタさんの握りこぶしには思いきり力が入り、ぶるぶると震えている。一方Kさんはといえば、「こっちは見なくていいですよ」のタイミングにあわせてファンタさんのこぶしの方をちらちらと見ていた。
それはずるいよファンタさん。(笑)
ファンタさん「どんどん硬くなります。万力で締められているみたいにぐいーっと硬くなってきました。ではー、これから3つ数えると、あなたの手は固まって、絶対に開けなくなります。1、2、3、はいっ!」
パンッ!と手をたたくファンタさん。
ファンタさん「どうですか?手は開きますか?」
Kさん「・・・・・・、開きませんー」
とてもうれしそうなKさん。いや、僕もきっとうれしそうな顔してたと思いますが。
ファンタさん「ではー、これから僕が3つ数えると、その手はらく〜にひらきますよー。1、2、3、はい」
Kさん「あ・・・。ひらいた・・・」
ファンタさん「どうでした?あ、痛かったですか?」
Kさん「いえ、そんなには」
ファンタさん「こっちの手が気になったでしょう。見なくていいですよって言われるとつい見ちゃうんですよ」
僕「ずるいですよそれは(笑)」
ファンタさん「で、こっちがぶるぶる震えてると、きっと僕がなにも言わなくても勝手に力入っちゃうでしょ?」
Kさん「そうですね(笑)」
ファンタさん「これ、ミラーリングっていいます。まあ、こういう特殊なワザは『相手が集中してないなー』とか『かかりにくいなー』とか思ったときに使うと便利です。ほかに『ほら!』って言うのがあります。これは便利ですよ」
僕「ほら?」
ファンタさん「じゃあゴロぉさんこれ、さっきみたいに握ってもらえます?」
握ったのはさっきのペンライト。
ファンタさん「ではー・・・、その光を見つめているとー・・・、だんだんと手に力が入ってきます。ほら!どんどん力が入っていく!ほら!ぐいぐい手がしまっていく!ほら!」
ゴロぉ「うおお?!」
ファンタさん「ね?だいぶ違うでしょう?『ほら!』っていうのはこういうふうに魔法の言葉みたいに働きます(笑)」
僕とKさんはただただ、「おぉー・・・」と感心していた。
ファンタさん「ってTさん早く来てくれー(泣)」
結局、僕たちは、Tさんの到着まで、お互いに振り子や腕固めの暗示を練習してみたり、雑談をしたりしていた。この暗示というのは、人のやってるのを聞く分には簡単そうに聞こえるが、いざ自分でかけてみようとすると案外難しい。やる時の気分は演劇のアドリブに似ているだろうか。とにかく頭の中で次に言う言葉を考えて、暗示を途切れさせないようにしないと変な間ができてしまう。かける側が自信なさそうにしていると、かかる側は不安になるし、不安になればかかりにくくなる。催眠の難しさを実感した瞬間だった。
Tさん「こんにちわー」
ファンタさん「あ、Tさんかな?」
Tさん「すみません遅くなっちゃって」
ファンタさん「お待ちしておりました。ささどうぞ」
Tさん用にいすを用意して、早速振り子の被暗示性テストから。暗示役は、Kさんだ。
Kさん「では、そのペンダントの見つめやすい場所を決めてください」
Tさん「はい」
Kさん「そこをじーっと見つめてください。その場所をじーっと見つめていると、だんだんとペンダントが左右に揺れはじめます。じーっと見ていると、ペンダントがひとりでに左右に揺れてきますよ」
Kさんの言葉に合わせて、ペンダントが動いていく。その揺れ方は、僕やKさんが持った時の揺れ方の比ではなかった。ぐんぐんぐんぐん揺れは大きくなっていった。Kさんが上達しているというのもあるが、やはりTさんの被暗示性の高さによるものなのだろう。
Tさんは、その次にやった腕固めの被暗示性テストでも、驚くべき反応を見せた。なんと、手のひらに爪が食い込んで赤くなるまで、力が入ったのだ。ファンタさんが制止に入らなければ、もっと力が入っていたかもしれなかった。